atama plus株式会社
atama plus 株式会社
東京都港区三田1-4-1 住友不動産麻布十番ビル3F
Sumitomo Fudosan Azabu-juban Bldg. 3F,
1-4-1, Mita, Minato-ku, Tokyo, Japan
社員の声
創業メンバーから新人まで膝を突き合わせ、 半年がかりでつくった「価値観」のものさし。
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林田 智樹(Product Owner)
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橋上 園子(Quality Assurance)
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尾関 望(Engineer)

Missionもカルチャーも、大切なことは、みんなで考える
― まずは簡単に自己紹介をお願いします。
橋上:私は、代表の稲田とは創業前からの知り合いで、立上げメンバーとして2017年4月にatama plusに入社しました。創業当初はCSサポートやコーポレート全般を担当していましたが、人数が増えるに従って、徐々に仕事を分担。現在はQA(Quality Assurance)として、主にatama+の品質保証に関する業務を担当しています。
林田:僕は、入社したのが2017年10月。UXデザイナーとして入社し、atama+を利用する生徒や塾の方がどういうことに困っていて、どういう機能があるともっと喜んでもらえるのかを、考えてカタチにする仕事をしていました。現在はプロダクトオーナーになり、開発の方向性を決めたり、進捗を管理したりしています。
尾関:僕は2018年10月入社。職種はエンジニアです。プログラムを書いて、プロダクトを作ることを入社からずっとしています。「駿台atama+模試」の立ち上げにも参加しましたが、基本的にはatama+の機能改善や新機能開発を担当しています。
― 3人はどういった関係ですか?
尾関:僕たちは2020年7月に公開した「atama+ culture code(以下カルチャーコード)」を作成した際の、検討チームメンバーです。メンバーは、ここにいる3名を含めて合計7名。ビジネスやプロダクトなど、それぞれのチームから1名ずつ集まり、職種横断で結成しました。
― カルチャーコードについて、もう少し詳しく教えてください。
橋上:atama plusでは「教育に、人に、社会に、次の可能性を。」というMissionを掲げています。そのMissionの実現に向けて、みんなで大切にしていきたい価値観や行動を「Wow students.」「Think beyond.」「Speak up.」「Love fun.」といったValuesに定めています。これらのValuesを体現するために、日頃から心がけることや、大切にしたい考えなどをまとめたものが、私たちの作ったカルチャーコード。何を「いい」と感じるか、何が「リスペクトに値するか」のモノサシです。

― なるほど。では、もともとMissionとValuesがあって、それらを日常的に意識して行動するためにカルチャーコードを作ったんですね。
林田:そうですね。ちなみに今のMissionとValuesも、設立1年目から2年目にかけて、当時の社員みんなで作ったんですよ。僕と橋上さんはそのときも、検討チームのメンバーでした。
― MissionやValuesも社員のみなさんで考えたんですか!?カルチャーコードの話を伺う前に、Mission・Valuesを作ったときの話を聞かせてください。
林田:atama plusには、もともと創業メンバーが作ったMission・Valuesがありました。実は、創業メンバーは会社よりも先にMission・Valuesを作ったんです。それくらい、「教育を通じて社会を新しくする」ということを何よりも大切に考えています。みんなもその内容を理解して、共感していたのですが、作り直そうという話になったのが、2018年2月頃だったかな?
橋上:そうそう。創業から1年足らずで社員数が20名まで増えて、今後も人数が増えていくことを考えると、Mission・Valuesをもっとわかりやすくて、覚えやすい言葉に作り直して、ちゃんとカルチャーとして根付かせていく必要があるよねという話になって。それで、代表の稲田さんと、創業時からのメンバーである私ともう1名、そこに林田さんを加えた4名で検討チームを結成しました。
林田:こういった取り組みの経験があるわけではない入社してすぐの人が、Mission・Valuesの策定に関わるのは珍しいことだと思いますが、atama plusの場合、大切なことはみんなで考える風土があるので、むしろ自然な感覚で引き受けました。やっていくうちに「あ、これ何十年も残る可能性のある、すごく大切な言葉だ」と気付きました(笑)。
― なるほど。会社にとって大切なことは、みんなで話し合って決めるというのがatama plus流なんですね。
橋上:そうですね。いつの間にか会社が決めて、突然発表されるということはないです。ちなみにこのときは、創業からずっとお世話になっている、ブランド戦略顧問でコピーライターの斉藤さんに協力いただいて、20名全員にインタビューを実施しました。みんなが無意識に持っている共通の価値観だったりatama plusらしさを抽出して、検討チームで3か月近くかけて議論。最後は斉藤さんのプロの技で、すばらしい言葉に仕上げていただきました。
Valuesの輪郭をくっきりさせて、認識を揃える
― それほどこだわって作ったMission・Valuesがあるのに、どうして新たに「カルチャーコード」を作る必要があったのですか?
林田:確かにMission・Valuesは、ものすごく根付いていると思います。会議室の名称やSlackのオリジナルスタンプにもMission・Valuesのフレーズが使われていて、日常的に目に触れますし、会議のときも「そのやり方で、生徒にWowを届けられる?」と、自然と会話に出てきます。一方で、短い言葉であるがゆえに、少しずつ言葉の解釈に幅が出始めてきたんです。

尾関:僕がよく耳にしていたのは、Valuesのひとつである「Speak up. 話そう、とことん。」について。これは、「Missionの実現に向けて建設的な議論する上で、必要なことはとことん話し合いましょう」ということなんですが、言葉だけを切り取ると、「時間を気にしないで、何時間でも話し続けよう」とも捉えられます。「どこまで話し合うのが正解なの?」という議論が、ちらほらと発生していました。
橋上:たしかに「Speak up.」は業務に直結している価値観だから、解釈のばらつきが一番出やすかったですね。みんながValuesを理解して体現できるようになるには、もう少し具体性のある言葉で真意を伝えるツールが必要だろうと、カルチャーコードを作ることにしました。言ってしまえば、カルチャーコードはValuesに輪郭を与えるものですね。ひとつの言葉から想像するぼわっとした広がりを、輪郭の中に収めることで、みんなの認識が揃っていくということです。
半年かけて全社員の価値観を擦り合わせ、一冊の本に
― 具体的にはどういう風に検討を進めていきましたか。
尾関:大きな流れとしては、まず検討チームで議論して、できあがったものをドラフト版として全社員に共有。そこで上がった意見をもとに再び検討して完成させるという流れです。
橋上:1回目のミーティングを実施したのが2019年12月。あらかじめ稲田さんが骨子を作ってくれていたので、それをベースに「これは良いだの悪いだの」、思い思いに意見を出し合うということから検討を始めました。
林田:僕が思うに、稲田さんの当初の予定としては、自分の骨子をベースに2〜3か月くらいで完成させるイメージだったと思うんです。でも、1回目から議論が白熱して、稲田さんの骨子が赤字だらけに(笑)。
橋上:原案よりも、みんなが書き込んだコメントのほうが長かったんです(笑)。そこから、「Speak up.」についてはこの2名、「Think beyond.」はこの2名が担当という風にテーマを割り振って、次のミーティングでは持ち寄った案についてまた議論して、徐々に精度を高めていきました。
尾関:結局完成まで半年以上かかりましたよね。最初は1~2時間のミーティングを週1〜2回おこなっていたけど、いつも時間切れで終わってしまい、「じっくり話す時間が必要」と、最後の頃は土曜日に集まって1日話す日を設けて。やるからには妥協したくないので、納得できるまで侃々諤々と話し合って作り上げた感じです。
― まさに「Speak up.」ですね。カルチャーコードを作成した際に、特にこだわったことはありますか?
橋上:私は、1回読めば、誰もが理解できるような表現になっているかということをすごく意識しました。内容は正しくても、理解に時間がかかったり、誤解を生むような表現については、一語一句までこだわって修正しました。
林田:読んでいてワクワクするようなものにすることを大事にしました。たとえば、最初は「Speak up.」のところに「相手の気持ちもよく考え発言します」という趣旨の一文が入っていたんです。もちろん、大切なことではありますが、そういう伝え方だとなんだか説教臭くてワクワクしないし、自分から意見しづらくなって、下手すると「Speak up.」のカルチャーさえ失いかねない。そもそも、「気をつけましょう集」になってしまうと、自律して働くatama plusのカルチャーと合わないですから。
尾関:僕は、自分がふだん働いていて迷ったことを、明らかにするように心がけていました。たとえば、あるところでは「atama plusはプロダクトファーストです」と言い、別のところでは「カスタマーファーストです」という表現していて、何をいちばん優先すればいいんだろうって、迷うことがありました。そういった疑問を議論の場に出して、まずは自分の中でしっかり整理したうえで、みんなに伝わるように、話す順番だったり、伝え方を工夫するようにしていました。
― それほどこだわって作ったのなら、ドラフト版を公開してからは一気に進んだんですか?
林田:そこは、やっぱりatama plusといいますか、とってもたくさんのフィードバックをもらいました(笑)。でも、7人で検討していたときには気づかなかった発見があって、結果的に一段と良いものに仕上がったかなと思います。
尾関:みんなからもらった意見は全部で45個だったかな。でもそれがみんなの思いだから、検討チームで内容を再度見直したり、意見をくれた人にヒアリングしたりしながら、45個すべて検討して作り直しました。そして最後は、今回もブランド戦略顧問の斉藤さんのお力をお借りして言葉を完成させさらにもう一人の顧問であるデザイナーの後さんに協力いただき冊子にしてもらいました。

橋上:さすがプロだなって思いましたね(笑)。私たちも頑張って、何とか理解してもらえるような内容にできたと思っていましたが、もっとわかりやすくなったうえに、ワクワク感が加わった感じです。序文を読むだけでもモチベーションが上がるので、私は今、枕元にカルチャーコードを置いて、寝る前に頻繁に読み返しています。
尾関:みんなからも「ページをめくりたくなる」「理解度が上がった」など、ポジティブな意見をたくさんもらいました。
手入れの必要な「庭」のように、みんなでカルチャーを育てていく
― カルチャーコードはどのように活用されていますか?
橋上:カルチャーコードが完成したときは、緊急事態宣言中だったので、全社員の自宅に宅配便で本を送りました。その翌日に、「カルチャーガーデニング」と題した研修を開催。全社員で丸一日かけて、カルチャーコードに記載されている内容の認識をすりあわせるセッションを行いました。第1回は私たちカルチャーコード検討チームが主催でやりましたが、その後は、新入社員に対して定期的に同様の研修を行っています。
尾関:ふだんの仕事でも、カルチャーコードがみんなの判断基準として使われていて、以前まで起きていた「Speak up.」の認識のズレは解消されたかなと思います。もちろんこれからも認識をすり合わせ続けることが大事ですが。「カルチャーコードにこう書いてあるので、こういう取り組みをしよう」という風に、自分の行動とカルチャーを紐づけて、考えやすくなったと思います。

林田:社内制度を作るときの指針にも使われていますね。新しい制度ができたときは「カルチャーコードにも書いてあるように、私たちはこういう前提を持っているから、こういう制度を作ろうと思います」という風にアナウンスされるので、僕たちも背景理解がしやすくなりました。
橋上:あと、カルチャーコードは、HPでも公開して社外の人にも発信しているのですが、最近、カルチャーコードを読んで共感したという動機で、面接に来てくれる方が増えました。就職という大きな決断に影響を及ぼすほど、人の心を動かせるものを作れたんだなと、あらためてカルチャーコードの意義を感じています。
― 採用も制度も、すべてがカルチャーと紐づいて、すごい成果ですね。atama plusがここまでカルチャーを大切にしている理由なんですか?
橋上:冒頭でもお伝えしましたが、atama plusは、会社よりも先にMission・Valuesを作ったくらい、「教育を通じて社会を新しくする」ことにこだわっています。全員が同じ目標に向かって、自律的に考えて行動することができれば、それをいち早く達成することができる。だからこそ、大事にしたいカルチャーを明文化して、全員が理解し、体現することはすごく大切なことなんです。
尾関:僕は正直にいうと、atama plusに入るまでは、会社のMission・Valuesをそこまで意識したことがありませんでした。何となく建前として掲げているだけのものというか。でも、atama plusでは、制度や採用、ふだんの仕事でも、折にふれて出てくる。形骸化していないから、僕たちも自然に大切にしようという気持ちになるんだと思います。
林田:稲田さんがよく「カルチャーは庭だ」って言うんです。一度作ればしばらく壊れない建築物と違って、手入れし続けないとダメになる。みんなで種を撒いたり、雑草を抜いたりして手入れしながら、カルチャーを磨き続けていく必要があります。そういった意味では、カルチャーコードの完成はスタート。今いる仲間、これから入ってくる仲間と一緒に、atama plusらしいカルチャーを育てていきたいです。
Interviewed: 2021.06.07