atama plus株式会社

社員の声

プロダクト制作座談会

「オンライン模試」リリースから1年。 プロダクトチームの進化の軌跡。

  • 江波 拓郎(Product Owner)
  • 鵜飼 一平(Engineer)
写真左から江波、鵜飼
江波 拓郎/北海道出身。新卒でサントリーに入社。4年の営業経験を経て、創業直後のITスタートアップに転職しPdMとしてのキャリアをスタート。医療系ベンチャーのエムスリーでは医師相談サービスのPdM兼事業責任者を務め、プロダクト・事業に関するあらゆる業務を経験。atama plusの理念やカルチャー、魅力的なメンバーに惹かれ、2019年9月からジョイン。
鵜飼 一平/日本の進学校から高3の夏にカナダに留学。英国エディンバラ大学で言語学と情報学を学び2008年卒業。 学生時代から幅広いエンジニア経験を積み、言語学を活かした英語学習サービスの開発等を経て、近年は『教育』にフォーカス。教育への想いとアジャイルなプロダクト作りへのこだわりからマッチする転職先が無く迷っていた時に、創業前のatama plusに出会い「これしかない」と参画。 認定スクラムマスター、認定スクラムプロダクトオーナー

3ヶ月でつくり上げた新規プロダクト「オンライン模試」

― 「オンライン模試」のプロジェクトはどのようにスタートしたのでしょうか?

江波:2020年4月に新型コロナウイルスの状況を受けて、駿台さんと7月の共通テスト模試を共同でオンライン実施できないかという話が持ち上がり、プロジェクト開始が決まりました。

もともと自分は「atama+」のプロダクトオーナーをしていたのですが、急遽「オンライン模試」のタスクフォースを担当することになりました。

鵜飼:自分も江波さんと同じくエンジニアとして「atama+」を作っていました。江波さんとは、直前に「atama+」のWeb版を臨時提供するタスクフォースでもご一緒していたり、開発体制変更の検討でもご一緒していたり、なんだかんだ長いお付き合いですね(笑)。

― オンライン模試のタスクフォースには他にどんなメンバーが参加したのでしょうか?

江波:私がプロダクトオーナー兼タスクフォースオーナー。鵜飼さんを含めてWebエンジニアが4人、UXデザイナー1人、QA1人、他チームと兼任のインフラ担当エンジニアが1人の体制でした。

4月下旬にキックオフしましたが、模試の実施は7月27日と決まっていました。数万人規模が同時に受験するプロダクトの開発をたった3ヶ月でやりきる。チーム一丸となって全速力で走る日々のスタートでした。

― 3ヶ月!これはなかなか凄まじいスケジュールですね。まず何から手をつけましたか?

江波:最初にやったのは、このプロジェクトの目的や背景を、しっかりとチーム全員で目線合わせすること。
何を成功と定義して、何を目指すのか。第1回目のオンライン模試については「無事にオンライン模試を成功させること」を第一のゴールに置きました。

鵜飼:早い段階から全体計画を作ってそれに沿って動くことより、リスクが大きいところから着手して実装していくことを常に意識しました。もし状況が変わったとしても、その都度、優先順位の立て直しができるようにしたいと。

― 短期間でプロダクト開発する中で、優先順位の見直しはどのように行っていたのでしょう?

江波:スプリントのリズムに合わせ、最低でも週1回のペースでやっていました。プロジェクトが佳境を迎えてからは、都度、必要なタイミングで実施していました。最低限実現すべきは、全員がオンラインで模試を最後まで受験できること。諦めることや捨てることを厭わず、真に必要なことにフォーカスすることを心がけました。

― タイトスケジュールのプロジェクトでしたが、大きな問題は発生せず順調に進んだのでしょうか?

江波:いえ、ここには書ききれないことも含め、大小様々な問題・トラブルだらけでした。いま振り返ってもよく乗り越えられたなと...。プロジェクトの目的や背景をしっかりと共有できていたこと、個々人の責任感と技術力・スキル、そういった諸々がうまく噛み合って困難な局面を乗り越えられたのかなと思います。

― 3ヶ月間のプロジェクトを振り返ってみて、いかがでしょうか?

鵜飼:リスクの高いところを見極めながら、柔軟に取り組んでいくという進め方ができたと思います。終盤はやることがたくさんあって大変でしたが、リスクの高いものは残っていなかったので、心理的には落ち着いて取り組めました。最後は「もっと良くできないものか」と欲が出ていましたね。

今回のプロジェクトで、僕らは実装力があるチームなんだなと再認識しました。


新規プロダクトも、全員でつくっていきたい

― このプロジェクトから学んだことはありますか?

江波:社内をうまく巻き込むことの重要性です。開発自体はタスクフォースが主体となって進めましたが、途中で他のチームにヘルプをお願いしたり、全社員でベータテストしたり。最後は本当に、atama plusの総力をかけて完成させた感じです。

鵜飼:社内を巻き込むといえば、江波さんの伝説の全社プレゼンがありました(笑)。

江波:そんなこともありましたね。あのプレゼンには、社内のオンライン模試に対する意識を高める意味もありました。atama plusは全員でプロダクトをつくるカルチャーがあるのですが、既存プロダクトだけでなく、新しいプロダクトにも社員全員の目を向けたいと思っていたので。

鵜飼:それもあり、全社員がベータテストに参加してくれましたね。挙がったフィードバックはなんと1,300件以上。それらをもとに改善を重ねたこともあり、ベータテスト前後でユーザー体験は格段に進化しました。他にも、採点データの作成でコンテンツチームに奮闘してもらったり、お問い合わせ対応の体制整備もあったり、本当に色んなメンバーが関わってくれました。

江波:会社全体でオンライン模試を成功させるという雰囲気を醸成できたことで、プロダクトとして格段にレベルアップさせることができたと思います。


タスクフォースから「プロダクトチーム」への進化

― 難易度が高いプロジェクトをやり遂げたことは「大成功」と言えると思うのですが、タスクフォースとしてはどのように捉えていたのでしょう?

江波:短期間でやり遂げられたこと、全社一丸となって取り組めたことについては最大限の評価をしています。成功の事実は、メンバーにとっても会社にとっても大きな自信に繋がりました。

鵜飼:一方で、タスクフォースとしても個人としても、第1回のオンライン模試は「完成させることがゴール」になってしまったという反省がありました。期限までにオンライン模試を実施することに全力投球してしまい、オンラインならではの価値といったことに目を向ける余裕がなかった。典型的な「ビルドトラップ」に近い状況だったな、と。

― それはまた随分とストイックですね(笑)。普通であれば、しばらくは成功の余韻に浸りたくなるような気がしますが...

江波:半年後の12月には次回模試の実施、また翌1月には新たなオンラインテスト立ち上げが決定していたこともあり、タスクフォースの「正式チーム化」が決まったんです。
「チーム」として「プロダクト」を作り上げていく以上、ビルドトラップに近いことを繰り返すのは避けたく、継続的な価値・成果を生み出せるように変化しなければいけない、という危機感を強く感じていました。

鵜飼:8月に3ヶ月間の総括・振り返りを行い、チームとして「アウトプット」ではなく「アウトカム」を追い求める「プロダクトチーム」になろうという共通認識が生まれました。

江波:成功を手放しに受け入れず、プロダクトチームへの変貌を自ら志向できたのは「適切な自己批判」がチームのベースにあったからかなと。これまでのやり方や成果を捨てるのは勇気がいることですが、あのタイミングでそれができたことにはとても意味がありました。

― プロダクトチームへの進化に向けて、具体的にどのような取り組みをしたのでしょうか。

鵜飼:まず『INSPIRED』という書籍の読書会を行い、真のプロダクトチームとは何か、アウトカムを追い求めるとはどういうことなのかの共通認識を作りました。書籍を鵜呑みにしたわけではないですが、冷静に客観的に、今の自分達に不足していること、これから目指していきたいことなどを明確にしていきました。

― 読書会を通じて、チームにどんな変化がありましたか?

江波:端的に言うと、プロダクト開発に対するマインドセット、「全員でプロダクトをつくる」ことへの理解が深まったと思います。ディスカバリーと呼ばれる、アイデアの妥当性検証に対する意識が高まったことも大きな変化でした。
フォーカスする課題に対して、アイデア出し・第一歩目のアプローチ選定・低コストでのプロトタイプ構築・ユーザーテスト・その観察を通じた学習・プロトタイプや課題そのものへのフィードバック... そんな一連のサイクルに、職種を超えて文字通り「チーム全員」で取り組むようになりました。
最初は手探り状態でしたが、サイクルを重ねるうちにやり方も洗練されていき、「小さく早く検証する」というリズムがチームに根付いていきました。

鵜飼:そういった試行錯誤を経て、チームは大きく変わり始めました。やみくもに多くをアウトプットするのではなく、成果に繫がる確信が持てるような「確かなアウトプット」を着実に積み上げていく、本質的な意味で「プロダクトチーム」に近づいている手応えがありました。たまたま次の模試まで少し余裕があるタイミングだった、ということも大きかったかもしれませんが、あの試行錯誤期間が今の僕らの礎になっています。

― 正式にチームとして発足してから約1年が経過しようとしています。現在のオンライン模試及び模試チームの状況を教えてください。

江波:オンライン模試の状況としては、「共通テスト模試」は年3回、2021年1月から始まったオンライン限定の「学力判定テスト」も年6回開催されています。少なくとも隔月ではいずれかの模試が行われています。なかなかハードですね。

鵜飼:それに加えて、新しいプロダクトに取り組み始めています。まだキックオフの段階ですが、2021年11月のローンチを目指しています。

江波:模試チームとしては、それらすべてを確実に運用していくことはもちろん、戦略上重要となる課題には取り組み続ける必要があります。結果的に、プロダクトには毎回何らかのアップデートが加わっているのですが、解消すべき課題をほぼ完全に解消しきれた好事例が多数あり、総じて「打率」が高い状態を保てているかなと。打ち手の妥当性を事前に検証し、確度を高めて世に出すことがうまく機能している手応えを感じています。

― プロダクトチームとして順調に成長を遂げられている感がありますね。チームとしての最近の取り組みやチャレンジについて教えてください。

江波:課題の整理や選定については、最近は意識的にチームに任せています。プロダクトオーナーとして、自分は会社の戦略とプロダクト戦略の繋ぎ込み、より大きな取り組みテーマの選定、それらを噛み砕いてチームに伝達すること等に注力し、チームがより自律的に意思決定・行動できるようにすることに意識を向けています。

鵜飼:開発プロセス自体の改善やボトルネック解消など、より価値創出にフォーカスするための基盤整備にもチームが自律的に動けている実感があり、チームとしての成長を感じます。直接的な機能やユーザー体験の改善だけでなく、課題を整理したり、成果を挙げるためにどの課題に取り組むかを考えたりすることにも、江波さんを含めたチーム全体で取り組んでいます。


チームでMissionに向かえる人と、働きたい

― 模試チームでの仕事において、atama plusらしさを感じることってありますか?

江波:メンバー全員がプロダクトオーナーシップを強く持っていることでしょうか。チーム全員がプロダクトに対して適切なオーナーシップを持ち、チームとしてプロダクトをマネジメントする。これは非常にatama plusらしい一面かもしれません。

鵜飼:江波さんとはチーム歴も長いのでイメージは近いですね。創業時からatama plusにいますが、「理想のプロダクトチームってなんだろう」「atama plusらしさってこうあって欲しい」と、あるべき姿にこの1年間向き合った結果、実感として他のどのチームよりもatama plusらしい「プロダクトチーム」に近づけたと感じています。

江波:とはいえ、チームとしてもプロダクトとしてもまだまだ至らない点だらけなのも事実です。これからも適切な自己批判を続け、成長の歩みを止めることなく前進していきたいなと思っています。

― これから一緒に働くとしたら、どんな人とご一緒したいですか?

江波:atama plusのMissionやValuesに共感してくれる人ですね。これが非常に重要だと思います。あとは、チームとして成果を上げることにベクトルが向いている人は、特に向いている環境だと感じます。

鵜飼:すごく尖った人と一緒に働きたいですが、一方でただ尖っているだけではなくて、「一緒に同じところに向かうぞ!」と、力を合わせられる人が良いなと思います。
atama plusは、プロダクト作りに本気で取り組んでいる会社です。そこがベースにあって社会を変えようとしているので、興味ある方はぜひ一緒に働きましょう!


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